国庫帰属が使えない土地(却下・不承認になる条件)
この記事の要点
建物・担保・通路・汚染・境界の争いがある土地は、申請の段階で受け付けられない
崖・地上や地下の物・災害のおそれ・森林の手入れ不足などは、審査のあとで承認されない
取下げ(2026-09-30現在・速報値)。却下(86件)・不承認(103件)よりずっと多い
相続した使わない土地は、国に引き取ってもらえる場合があります(相続土地国庫帰属制度)。ただし、どんな土地でもよいわけではありません。条件にあてはまると、申請しても引き取ってもらえません。
条件は2段に分かれています。
| 段階 | 呼び方 | どういうことか |
|---|---|---|
| 申請のとき | 却下 | そもそも申請できない土地。審査に入らない |
| 審査のあと | 不承認 | 調べた結果、管理に手間やお金がかかりすぎると判断された土地 |
承認するかどうかは、1筆ごとに決まります。2筆を出して、1筆だけ承認されることもあります。
申請できる人
申請できるのは、相続(または相続人への遺贈)で土地を取得した人です。自分で買った土地は対象になりません。
土地が共有なら、共有者の全員で申請します。共有者の中に相続以外で持分を得た人がいても、相続で得た人と一緒なら申請できます。
却下される土地(申請の段階)
次の土地は申請できません。
| 却下される土地 | 中身 |
|---|---|
| 建物がある土地 | 古い空き家や物置が残っている |
| 担保や使う権利が付いた土地 | 抵当権、賃借権・地上権など |
| ほかの人が使う予定の土地 | 現に通路になっている、墓地の中、境内地、現に水道用地・用水路・ため池になっている |
| 土壌汚染がある土地 | 土壌汚染対策法の有害物質が基準を超えている |
| 境界や持ち主に争いがある土地 | 隣との境界がはっきりしない、だれの物か争いがある |
このほか、申請する権限がない人の申請、必要な書類を出さない申請、正当な理由なく調査に応じない申請も却下されます。
建物がある土地は、先に建物を取り壊せば申請できるようになります。取り壊しの費用は自分で持ちます。
承認されない土地(審査のあと)
却下の条件にあてはまらなくても、審査のあとで次の土地は承認されません。
| 承認されない土地 | 中身 |
|---|---|
| 崖がある土地 | 勾配30度以上・高さ5m以上の崖があり、管理に手間や費用がかかりすぎる |
| 地上に物がある土地 | 管理や処分のじゃまになる工作物・車両・樹木などがある |
| 地下に物がある土地 | 取り除かないと管理や処分ができない物が埋まっている |
| 隣ともめている土地 | 公道に出られない土地で通行が妨げられている、使うのを現に妨げられている |
| 手間や費用がかかりすぎる土地 | 下の表 |
最後の「手間や費用がかかりすぎる土地」は、政令で次のように決まっています。
| 中身 | 例 |
|---|---|
| 災害のおそれ | 土砂崩れ・地割れ・陥没・水や汚れた水のもれがあり、手を加える必要がある |
| 動物の被害 | 鳥獣や病害虫が人・農作物・樹木に被害を出している(軽いものは除く) |
| 森林の手入れ不足 | 市町村の森林整備計画に合わせるため、追加の植林・間伐・保育が要る |
| 国にお金の負担が残る | 国が通常の管理費のほかに支払いを負うことが確実、など |
審査では現地も見る
法務局の職員は、審査のために土地を実地で調べることができます。申請した人や関係者から話を聞いたり、資料を求めたりもします。
却下・承認・不承認の結果は、申請した人に通知されます。
全国で多かった理由
法務省の統計(2026年9月30日現在・速報値)では、申請6,125件のうち、国のものになった(帰属)のが3,231件、却下が86件、不承認が103件でした。
| 却下の理由(主な物) | 件数 |
|---|---|
| 書類を出さない | 37 |
| 境界がはっきりしない | 23 |
| 現に通路になっている | 22 |
| 申請の権限がない | 11 |
| 不承認の理由(主な物) | 件数 |
|---|---|
| 地上に工作物・車両・樹木がある | 49 |
| 森林の追加の手入れが要る | 37 |
| 国にお金の負担が残る | 12 |
| 災害を防ぐ措置が要る | 11 |
1件に理由が重なることがあるので、理由の合計は件数より多くなります。
数字で目立つのは取下げで、1,162件ありました。理由は「ほかに使い道が見つかった」が595件、「却下・不承認にあたると分かった」が415件です(同じ時点)。
申請の前に確かめること
- 建物・物置・車・廃材など、土地の上に残っている物はないか
- 隣との境界は分かるか。境界の目印や図面はあるか
- 抵当権などが登記に残っていないか(登記事項証明書で見られます)
- だれかが通路や水路として使っていないか
- 共有なら、共有者全員がそろって申請できるか
最終的な判断は法務局がします。申請の前に、法務局の相談窓口で確かめられます。
筆ごとの地目・区域・面積から負担金を計算し、却下・不承認の条件にあてはまらないかも確かめられます。
承認されたあとに納める負担金の決め方は「国庫帰属の負担金の計算」、制度の費用の全体は「使わない土地を国に引き取ってもらう費用」にまとめました。国庫帰属のほかの手放し方は「いらない土地の手放し方」で比べています。
出典と確認日(3件)
- 相続土地国庫帰属法 1条・2条・4条・5条・6条・9条(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 相続土地国庫帰属法施行令 2条・4条(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 法務省 相続土地国庫帰属制度の統計(2026-09-30現在・速報値、10-19掲載) 確認 2026-10-22
監修
監修が付くまでは、公的機関の公開資料にもとづく一般的な情報として示します。個別の土地や手続きが対象になるかの判断はしません。監修者の欄に、生成した顔写真は使いません。
この記事は一般的な情報です。個別の税金・法律の判断や、書類の作成・手続きの代行はしません。数字は記事の確認日の時点のもので、制度は変わることがあります。誤りに気づいたらご連絡ください。