いらない土地の手放し方(売る・寄付・国庫帰属・相続放棄・持ち続ける)
この記事の要点
売る・寄付する・国庫帰属・相続放棄・持ち続ける。使える条件がそれぞれ違う
土地だけを放棄することはできない。預金や家も含めて受け継がなくなる
先に解体するか、建物ごと売れるかを確かめる
相続した土地を使う予定がないとき、手放す方法は主に5つあります。どれが合うかは、土地の状態と、ほかの財産、期限で変わります。
5つの方法の比べ方
| 方法 | だれが相手か | 主なお金 | 期限 | 使えない・向かない場合 |
|---|---|---|---|---|
| 売る | 買う人 | 仲介手数料・税金・登記。売れれば手元に残る | なし(税の特例には期限あり) | 買い手が見つからない |
| 寄付(贈与)する | 市区町村・隣の人など | 名義を移す費用 | なし | 相手が受け取らない |
| 国庫帰属 | 国(法務局に申請) | 審査手数料1筆14,000円+負担金(原則20万円) | なし | 建物がある、境界がはっきりしないなど |
| 相続放棄 | 家庭裁判所に申し立て | 収入印紙800円・郵便切手・戸籍代 | 知った時から3か月 | ほかに受け継ぎたい財産がある |
| 持ち続ける | — | 毎年の固定資産税・管理の手間 | — | 管理できない、空き家が傷む |
売る
買い手が見つかれば、手元にお金が残るのは売る方法だけです。仲介の手数料や、もうけ(譲渡所得)にかかる税金を引いた額が手取りになります。
相続した家を売るときは、空き家の3,000万円控除など、期限のある特例が使える場合があります。手取りの見込みは売った場合の手取りの計算で出せます。税金の考え方は「相続した家を売ったときの税金」「空き家の3,000万円控除」にまとめました。
寄付(贈与)する
市区町村や隣の土地の人に、ただで引き取ってもらう方法です。贈与は、渡す側が申し出て、受け取る側が受け入れたときに成り立ちます。相手が断れば、寄付はできません。
名義を移す登記の費用などは別にかかります。受け入れてくれるかどうかは、相手ごとに確かめるしかありません。
国に引き取ってもらう(国庫帰属)
相続(または相続人への遺贈)で取得した土地を、国に引き取ってもらう制度です。法務局に申請し、審査を受けます。
| お金 | 額 |
|---|---|
| 審査手数料 | 1筆14,000円(申請のとき) |
| 負担金 | 原則20万円。市街化区域の宅地・一部の農地・森林は面積で決まる(承認のあと) |
建物がある土地、抵当権が付いた土地、境界がはっきりしない土地などは申請できません。建物は先に取り壊す必要があり、その費用も自分で持ちます。
条件は「国庫帰属が使えない土地」、負担金の計算は「国庫帰属の負担金の計算」にまとめました。
相続放棄
家庭裁判所に申し立てて、相続そのものをしなかったことにする方法です。放棄した人は、初めから相続人でなかったものとみなされます。
ここで大事なのは、土地だけを放棄することはできない点です。預金や家など、ほかの財産も受け継がなくなります。代わりに、借金などの義務も受け継ぎません。
| 点 | 中身 |
|---|---|
| 期限 | 自分が相続人になったと知った時から3か月以内 |
| 費用 | 収入印紙800円(1人)、郵便切手、戸籍の手数料 |
| 放棄したあと | 次の順位の人(父母、兄弟姉妹など)が相続人になる |
| 注意 | 財産を使ったり処分したりすると、放棄できなくなることがある |
放棄の時に土地や家を実際に占有していた人は、次に受け継ぐ人などに引き渡すまで、保存する義務が残ります。くわしくは「相続放棄と国庫帰属の違い」「相続放棄の手順と期限」にまとめました。
持ち続ける
手放さずに持ち続けることもできます。その場合は、毎年1月1日の持ち主に固定資産税がかかります。税率の標準は1.4%で、市町村によって違います。
家が建っている土地は、住宅用地の特例で税が軽くなっています(200㎡以下の部分は評価額の6分の1で計算)。ただし、空き家が傷んで市区町村から「勧告」を受けると、この特例が外れます。
持ち続ける場合でも、相続登記は義務です。相続で取得したと知った日から3年以内に登記します(「相続登記の義務化と期限」)。
決める前に確かめること
- ほかに受け継ぐ財産(預金・家・借金)はあるか。相続放棄を考えるなら、まず3か月の期限
- 土地に建物は残っているか。残っていれば、解体の費用と、建物ごと売れるか
- 境界は分かるか。共有なら、共有者の考えはそろうか
- 毎年の固定資産税はいくらか(納税通知書で確かめられます)
国庫帰属は法務局、相続放棄は家庭裁判所の窓口で、手続きの案内を受けられます。
出典と確認日(6件)
- 相続土地国庫帰属法 2条・10条(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 相続土地国庫帰属法施行令 3条・5条(e-Gov法令) 確認 2026-10-22
- 民法 549条・915条・939条・940条(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 裁判所 相続の放棄の申述 確認 2026-10-23
- 地方税法 349条の3の2・350条(e-Gov法令) 確認 2026-10-22
- 法務省 相続登記の申請義務化について 確認 2026-10-22
監修
監修が付くまでは、公的機関の公開資料にもとづく一般的な情報として示します。個別の土地や手続きが対象になるかの判断はしません。監修者の欄に、生成した顔写真は使いません。
この記事は一般的な情報です。個別の税金・法律の判断や、書類の作成・手続きの代行はしません。数字は記事の確認日の時点のもので、制度は変わることがあります。誤りに気づいたらご連絡ください。