共有名義の家を売るとき(全員の同意・持分ごとの税金・空き家控除の額)
この記事の要点
家全体を買主に渡すには、共有者全員の持分が要ります
売ったもうけは持分ごとに分かれ、それぞれが確定申告をします
家と土地を相続した人が3人以上なら、空き家控除は一人2
親の家を兄弟で相続し、名義を「共有」にすることがあります。たとえば2人で2分の1ずつ持つ形です。共有の家を売るときは、一人で持つ家とは違う点がいくつかあります。
共有とは
共有では、家と土地の全体を、何人かが「持分」という割合で持ちます。2分の1ずつなら、家のこの部屋は兄、という分け方ではありません。全体に対して半分ずつの権利を持ちます。
相続登記を法定相続分どおりにするなら、相続人の一人が全員の分を申請できます(法務局の案内)。登記の手続は「相続登記を自分でやる手順」をご覧ください。
家全体を売るには全員がそろう
買主は、家と土地の全体を買いたいのがふつうです。全体を渡すには、共有者全員の持分を売る必要があります。一人でも反対すれば、家全体は売れません。
| こんなとき | 法律の手当て |
|---|---|
| 話し合いがまとまらない | 共有者は、いつでも共有をやめる「分割」を求められる。協議がまとまらなければ裁判所に請求でき、分けられないときは裁判所が競売を命じることもある(256条・258条) |
| 共有者の一人の行方が分からない | 裁判所が、ほかの共有者全員が持分を売ることを条件に、行方が分からない人の持分も売れるようにする手続がある。相続の家で遺産分割の前なら、相続から10年たたないと使えない(262条の3) |
どちらも裁判所の手続です。まずは共有者どうしで、売るか・いくらなら売るか・お金をどう分けるかを決めます。
税金は持分ごとに一人ひとりが申告する
売ったもうけ(譲渡所得)の税金は、人ごとにかかります。共有の家を売ると、売った代金は持分に応じて各人のものになり、それぞれが自分の分を確定申告します。
例: 親が昔買った家を兄弟2人(2分の1ずつ)で3,000万円で売る。買った値段は分からない。仲介手数料は2人で等分。特例は使わない。
| 項目 | 全体 | 一人分 |
|---|---|---|
| 売った額 | 30,000,000円 | 15,000,000円 |
| 取得費(売った額の5%) | 1,500,000円 | 750,000円 |
| 仲介手数料(3,000万円×3%+6万円、税込) | 1,056,000円 | 528,000円 |
| 課税される譲渡所得 | — | 13,722,000円 |
| 税金(長期 20.315%) | — | 約2,788,000円 |
端数の処理を除いた目安です。持分が等分でなければ、一人分も持分の割合で変わります。税率と取得費の決まりは「相続した家を売ったときの税金」をご覧ください。
空き家の控除は人数で一人あたりの額が変わる
空き家の3,000万円控除は、条件を満たした相続人が、それぞれ自分のもうけから引きます。租税特別措置法35条は、売った個人ごとに控除する形で書かれています。
2024年1月1日以後の売却で、その家と土地を相続した人が3人以上のときは、一人あたりの上限が2,000万円になります。
| 家と土地を相続した人 | 一人あたりの上限 | 全員の合計 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 2人 | 3,000万円 | 6,000万円 |
| 3人 | 2,000万円 | 6,000万円 |
| 4人 | 2,000万円 | 8,000万円 |
数えるのは、相続人全体ではなく、その家と土地を相続した人の数です。たとえば相続人が3人でも、家と土地を2人で相続したなら、一人3,000万円です。
上の例(2人で3,000万円で売却)では、一人分の譲渡所得は約1,372万円です。条件を満たせば、一人3,000万円まで引けるので、税金は2人とも0円になります。
共有で控除を使うときの注意
| 点 | 中身 |
|---|---|
| 売却額の1億円 | 1億円以下かは、ほかの相続人が売った分も合わせた代金で判定する。あとで残りを誰かが売って1億円を超えたら、4か月以内に修正申告 |
| 確認書 | 市区町村長が出す確認書には、家と土地を相続した人の数も書かれる |
| 申告 | 控除を使う人それぞれが、書類を付けて確定申告をする |
| ほかの条件 | 家の古さ、親が一人で住んでいたこと、相続後に貸したり住んだりしていないことなどは、一人で相続した場合と同じ |
条件の全体は「空き家の3,000万円控除の条件」、申告の書類は「相続した家を売った翌年の確定申告」にまとめました。売るまでの順番は「相続した家を売る流れと期限」をご覧ください。
売る額と、家を相続した人の数を入れると、一人あたりの税金と手元に残る額を出します。
出典と確認日(5件)
- 民法 251条・256条・258条・262条の3(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 租税特別措置法 35条1項・3項・4項(e-Gov法令) 確認 2026-10-23
- 国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 確認 2026-10-23
- 国税庁 タックスアンサー No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 確認 2026-10-23
- 法務局 相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等 確認 2026-10-23
監修
監修が付くまでは、公的機関の公開資料にもとづく一般的な情報として示します。個別の土地や手続きが対象になるかの判断はしません。監修者の欄に、生成した顔写真は使いません。
この記事は一般的な情報です。個別の税金・法律の判断や、書類の作成・手続きの代行はしません。数字は記事の確認日の時点のもので、制度は変わることがあります。誤りに気づいたらご連絡ください。